月島機械グループのICT/AI技術 月島機械グループのICT/AI技術

ICT/AI技術を活用した
機械装置やプラントの
自動化技術の紹介

近年、環境問題や少子高齢化といった社会情勢の変化により、省エネ、創エネおよび現場運用の効率化ならびに技術の継承が課題となっています。
当社では、省エネ、創エネの課題に対し、補助燃料が不要で消費電力よりも発電量が上回る新型の焼却システム「創エネルギー型脱水焼却システム」を開発しました。
さらに現場運用の効率化対策としてAI技術による自動制御を行い、また、システムの設計時においても業務効率化のため、プロセスダイナミックシミュレータ(コンピュータ上での過渡応答を含めた動的プロセスシミュレータ)を用いた仮想空間での試運転(以下バーチャルコミッショニング)を実施しました。
今回は、バーチャルコミッショニングにて得られた成果およびICT/AI技術による自動化システムの構築について以下の3点について紹介します。

  1. 1
    バーチャルコミッショニングの
    事例
  2. 2
    画像認証技術の
    事例
  3. 3
    機械学習モデルと
    モデル予測制御の
    組み合わせ制御の事例

ICT/AIを活用した自動化取組み事例 ICT/AIを活用した自動化取組み事例

1.
バーチャルコミッショニングの事例

当社で開発を進めている創エネルギー型脱水焼却システムは、新型の焼却システムであり新しいプロセス技術やアイディアが組み込まれており、プロセス設計や制御性能の検証のため、事前にプロセスダイナミックシミュレータにより運転バランスの確認や制御性についてコンピュータ上で確認を行いました。
制御性の確認では、実際のDCSとダイナミックシミュレータを接続し、バーチャルな環境での試運転(バーチャルコミッショニング)を行い以下の利点があることを確認しております。

バーチャルコミッショニングの
メリット

  1. プロセスの動作確認を
    事前に実施可能

  2. 実際のDCSで
    制御システムの
    事前検証が可能

  3. PIDの
    プレチューニング
    作業が
    可能

  4. 試運転立上げ期間と
    コストの削減が可能

2.
画像認証技術の事例

下水処理場において、汚泥濃縮設備の濃縮性能および後段の脱水設備の脱水性能は、凝集剤の添加により得られる汚泥フロックの形成状態に依存します。汚泥フロックを最適な状態に形成するには、薬注率の調整を適切に行う必要がありますが、汚泥フロック形状の判別は人の目視および場合によっては触覚などを駆使した熟練者の知見・技術に依存しているため、自動化が困難とされていました。
今回、下水汚泥の濃縮設備において汚泥をカメラにて撮像し、取得した画像にディープラーニングの技術を応用することで汚泥フロックの形成状態を特徴量として数値化し、薬注量の最適制御を試みました。
今回、実証を行ったシステムの概略構成を図2に示します。

今回のシステムにて、ディープラーニングの技術を応用することで汚泥の状態(フロックの形成状態)を数値化し、最適な状態となるよう薬注量を制御することにより濃縮機を安定して制御できることを確認しました。

3.
機械学習モデルとモデル予測制御の組み合わせ制御の事例

この事例では、脱水機と焼却炉を連動して制御し、炉内の温度の安定化を試みています。
今回構築したシステムでは、脱水機の含水率を制御することにより焼却炉の炉内温度を目的の温度になるよう制御しており、「最適なエネルギー効率」かつ、「有害物質の発生を最小限に抑える」ことを目的としています。
構築したシステムは上位側に焼却炉の温度制御を配置し、下位側に脱水機の含水率制御を配置するカスケード型の制御を行っています。
今回、実証を行ったシステムの概略構成を図3に示します。

図3の事例では、炉内温度最適化AIにモデル予測制御と機械学習モデルが組み込まれており、脱水機と焼却炉の現在までの運転状況および長い搬送時間も考慮し、未来の状態を予測します。
また内部には最適化演算器が組み込まれており、過去に既に運転された条件も加味し未来の挙動を予測した最適な含水率を出力できます。
脱水機最適化AIでは、炉内温度最適化AIで出力された最適含水率となるように脱水機を制御しています。この脱水機最適化AIは、脱水機の状態から含水率を予測することにより、含水率を最適化することができます。
今回のシステムにて機械学習モデルとモデル予測制御を組み合わせることにより大きな時間遅れをもつ脱水機と焼却炉を組み合わせたプロセスも安定して制御できることを確認しました。

今後の展望 今後の展望

今回、当社の下水汚泥を対象とした固液分離機(濃縮・脱水)
と焼却炉にて従来熟練者の知見・技術が必要で自動化が難
しかった操作対象の自動制御を目指し、AIの技術を活用す
ることにより安定した運転を実現することができました。
今後は、内閣府から提唱されているSociety5.0にもある
ような「超スマート社会」1)を目指し、より精度の高い制
御や、長期安定化を進め、ロバストかつ最適な自動・自
律運転が可能なシステムの構築を目指していきます。

その他のICT/AI関連の記事:
オープンイノベーション(室蘭工業大学との共同研究) 
https://www.tsk-g.co.jp/tech/research/openinnovation/

当社グループが目指す上下水道設備の
デジタルトランスフォーメーション 
https://www.tsk-g.co.jp/tech/research/#rsBlock05

参考文献
1):内閣府ホームページ「第5期科学技術基本計画」
https://www8.cao.go.jp/cstp/kihonkeikaku/index5.html